素材の持つ味わいをたいせつに・・
日本では昔から麻布は、衣類をはじめ、のれん、蚊帳地、馬具の装具、たたみのへり地などに愛用されてきました。麻と呼ばれるものは非常に種類が多く、繊維用に用いられているものだけでも５０～６０種におよびます。代表的なものに亜麻・苧麻（ちょま）・大麻などがあります。中でも、亜麻や大麻は地球上でもっとも古くから栽培された植物といわれ、その用途も繊維用に限らず食品や医薬品にいたるまで実に多岐にわたっています。また、大麻は生育している土地を活性化させ土質を良くし、二酸化炭素を酸素に還元する量が非常に多いという特徴を持っています。
麻の定義と分類
麻というと日本名では特に定義はなく、麻らしいものを「あさ」と呼んでいます。しかしこれでは困りますよね。そのため、消費者保護としての品質表示法が制定され、衣料品に限って亜麻と芋麻（ちょま）を麻と表示する事になりました。また、海外では「麻」というような曖昧な表現はなく、RAMIE（芋麻）, FLAX / LINEN（亜麻）, HEMP（大麻）, JUTE（黄麻）などの呼び方があります。
したがって、日本語における麻は、広い意味でみれば綿やカポックのような種子繊維を除いた、靭皮繊維・葉繊維・幹繊維で麻の特徴を持っているもの、言い換えれば麻らしいものを麻と考えていいのです。
以上のように、用語としての「麻」は、とかく疑義を生じやすいのです。
麻の特徴
●強力がつよく、伸度がない
麻は、塗天然繊維の中でもっとも強力が大きく丈夫です。また一般的には、この場合、湿強力は低下すると言われていますが、麻繊維の場合は増加傾向となります。つまり、すごく丈夫で濡れても丈夫！といえます。
●単繊維には中空がある
最近、中空繊維がハイテクで作られ、腎臓の透析にも使われていますが、実は、中空構造は天然繊維によって育てられたものなのです。中空繊維は、水分の吸排出に非常に優れてい、“とっても水捌けがいい布”といえます。
みつる工芸でよく使ういろいろな麻
ざっくりワイルド 〜麻布〜
麻のれんやタペストリー、ランチョンマットの生地には主に「麻布（あさふ）」という生地を使用しています。この生地は若干厚手でその風合いもザックリと手びき、手織ならではの野性味あふれる感覚です。天然染料との相性も良く、お部屋にナチュラルな色合いを与えます。
本麻だけの味わい 〜生平〜
生平コースターや座布団の生地には主に「生平（きびら）」という生地を使用しています。この生地は非常に使用用途が広く、古来よりのれんや日除、座布団、また、男物の着物や甚平や作務衣などに使われました。まさに本麻の代表格と行っても過言ではないでしょう。その風合いもしっとりと上品な、他にはない風格あふれる生地です。
変わり織 〜むかで〜
変わり織一輪挿しタペストリーには上記の麻布もよく使うのですが、特記したいのは写真の生地。みつる工芸では一輪挿しによく使用します。ザクザクと突き出しているのは麻の皮なのです。野性味あふれるおもしろい生地が染め色と見事にマッチしていい感じ。